釣人は怪しい

 釣人は、普通の人とかなり異なった行動や思考習慣をもった生きものである。例えば真夜中に起きだして人の気配がすくない街をぬけだし、漆黒の峠をひた走り、赤く焼けた太陽が東の空を染めるころ、深山の渓谷にわけいったり、いちいち上げればきりがなく、どうみても普通ではない。
その生態はかなり異常であり、また見方によっては非常に怪しく、不気味にも思える。

 釣りの対象となる魚や釣法は、多岐におよび一見とりとめがないが、それぞれの釣人には得意とする分野があり、それを犯すことは慎まなければならない。

 釣具屋にいっても、いろんな道具や材料があり、中には何に使うのかわからない材料があり、行きつけの釣具屋の頑固親爺に質問したら、「あんたは渓流釣りなんだから」といわれてしまった。
察するに、海釣りに使うものらしく、「渓流釣りの私にはわからなくても良いんだよ」ということらしい。

 知人からは「おまえが仕事をしているのをみたことがない」といわれ、家族からもすっかり見放されている。
釣人はそのことに気づくどころか、いたって普通であると確信していて、そのくせ車を落としたり川にはまったり、クマがでたと騒いだり、大きいとか小さいとか・・・・・。

 特に最近は釣った魚を放すとか、わけの解らない釣人もいて、その実態がますます怪しくなってきた。
「放すくらいなら釣らなきゃいい」